『利用者様に教えていただけたこと』
拙文が ある賞 をいただいたので、記念にポストします。
一発目の原稿の段階で、現行用紙6枚あったものを2枚にシュリンクしたので、意味不明なところもありますが、やはり受賞はうれしかったので。ポストをすることをお許しください。
『利用者様に教えていただけたこと』
「あんた、この前いなかったけどどうしたの?」
出勤して、ある利用者の方にあいさつした時、こう聴かれました。
「こんな、おばあさんでもね、知ってる人の姿が見えないと心配なのよ」
「すいませんでしたね、ありがとうございます。」
いつものように、そう答えた時、自分の心で「ブンっ」と音がして、「はっ」と気づくことがありました。すっとその場を離れ相談室に入り、声をあげて嗚咽していました。
介護の仕事に就いて、職場で一定の成果を出してきたことに誇りをもって、仕事をしてきました。福祉のことを学びたくて、社会福祉士の通信教育を受け、スクーリングで同じ志の仲間と出会い、介護の仕事、福祉の領域の仕事に携わることに、誇りと喜びを感じていました。
生活相談員としてデイサービスに努めていると、ご利用希望のご高齢の方を様々な事情でお断りすることがあります。6年務めていると、いつからか、僕が利用を許可しているような感覚に陥っていました。
そんな時に利用者様の冒頭のことばを聞いたとき、それが違うということに気づかされました。
逆でした。
利用者様は僕達がケアすることに許可を出してくれていたのだと気づきました。その事が僕の心を深く動かしたのでした。
人生の大先輩である利用者様は、いつも僕たちを気にかけおられて、僕たちがケアをする事に許可を出し続けておられます。
日々の仕事は大変なことも多いけど、あの日のあと、僕は毎日こう思います。
「今日も、あの職場に行こう。人生の大先輩である利用者様の許可と愛が満ち溢れたあの職場に。今日も利用者様の許可と愛に相応したケアを提供しよう。」